とりのんち

中年女性がブーブー言ってます。

ケーキの切れない非行少年たち

 

 

ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書)

ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書)

 

 

 

あの時のあの人はこれだったのかもしれない、と思う本。

 

私の身内に「おそらく知的ボーダーもしくは何らかの障害がある。けれども放置されたがゆえに何のサポートも無く、就業経験は一瞬で(即辞めた)長らく引きこもり状態であった方」がいらっしゃるので、読んでいて力が入りました。(引きこもりではありましたが真っ当に生き、現在は働いてらっしゃいますので本書とはまた違うのですが)

したがって今回、いつにも増してうるさいブログです。

スッキリするためだけに書きます。

 

 

荒れる子供は、小学生の間に上手く手助けしてあげればそれ以降荒れずに済む(荒れにくい)という話を聞いたことがあります。
中学以降は行動範囲が広くなるなどの理由から「悪い人」との関わりができやすくなるため、小学生の間が鍵である、というような話でした。

 

この本を読んで、小学生の時点で荒れる(外れてしまう)子供の中には知的ボーダーで苦しむ子や、発達、認知に障害がある子がいるのかもしれないと思いました。
非行少年もですが、学級崩壊の原因になっている子供の中にも当てはまる子がいるのではないだろうか、と。

ならば、中学に上がる前に気付いて導く事が重要なのではないだろうか。

 

小学生時代に気付き、適切に対応することができたら、ぐっと生きやすくなる子供が増えるかもしれない。
著者が対応した子供達の中には、その特性故に激しく虐められ、そのストレスから非行や犯罪行為に向かう子供が多かったという事なので、この子達を救うことでいじめ被害者も減らす事ができるのではないか。

 

特に苦しいと感じたのが、いじめ被害のストレスが幼い女児への性犯罪に結びついているという話です(性被害については男児も危険性がある事を絶対に忘れてはいけない)。

この本ではさらりと書いてありましたが(そこにフォーカスする本ではないので当然です)、これは根絶してほしいです。
ガンガン人と金を入れて幼い時に掬い上げて、教育療育して、社会で平穏に生きていける人間として育ててほしい。

最後の方に、少年達が立ち直り納税者として生きる事ができれば何千億円もの税収になるという話がありました。
性被害により通院投薬、ひきこもり、自ら命を断つなどで納税どころか医療費がかかる上に社会生活を送れなくなる方もいらっしゃいます。
その数はかなり多いはずです。
口外せずに把握もされず、孤独に闘う方も多いでしょう。

この被害が無くなったら、何千億円なんてレベルではない収入と、医療費削減ができるのでは。

 被害者も加害者も出さないためにできる事があり、将来的に税収アップ&医療費削減になるという切り口から考えたら、これはもう未来への投資でしかない。

 

教育にお金をかけるというと高等教育に目が行きますが、下支えをするための教育もお金をかけるべきではないでしょうか。

家庭環境に問題がある子供に対してもそうですが、子供を守る事で社会生活をきちんと送る事ができる大人が育ち、安定した社会を守ることに繋がります。

それは家庭だけでは難しく、学校だけでは不可能で、外部からのプロによるサポートと連携する事が必要だと思います。

子供を社会で育てる事で、社会が守られる。良い循環になると思う。

投資だと思ってお金をかけてほしい。

 

そして、被害者を出さないでほしいんです。

悲しい加害者も出てきてほしくない。

できることがあるならやってほしいんです。

性犯罪は再犯が多い。ならばまず初犯を止めるべき。

そのための一助に、この本の内容がなるのではないでしょうか。

 

 

把握すること、対応すること、それを親だけでなく社会が助けること。

これはものすごく多くの人の心と身体と生活と精神を救います。

救われた人が社会で働き、経済を動かします。

こういう事は、税金を流し込んで良いところだと思う。

誰かのためが、みんなのためになるのだから。

 

 

 

  

 

私の身内におそらくボーダーの方がいらっしゃると書きましたが、その方の親兄弟は「小さい時に熱を出したせいでおかしくなった」以外のことを言いません。

本人が高齢者に近い年齢ですので、その親となれば推して知るべしな年齢。

知識もないので仕方がない部分もあるのかもしれませんが、とにかく頑なです。

そんな家族を見ていて、果たして私は大丈夫なのだろうかと不安に感じる事もあります。自分や子供に対して気付いていない所があるのではないか、と。

 

普通の人と違う事を恥じる必要はないです。

その人が生きていく上で、親が死んでも社会で生きていけるようにするためにどうしたら良いかを考えたらいいんです。

私の身内はおそらく内心恥じているから、行動をしてこなかった。

かわいそうな子なのだと言いながら、かわいそうな中高年にしてしまった。

ここ数年で親が弱ってきたためにやっと兄弟が動き出し、福祉の相談に行った事で作業所のような所で働くことができるようになりました。

とりあえず今回は続いているそうです。

先々どうするのか不安しかありませんが、とにかく一歩進んだのだと自分に言い聞かせています。

並びに、作業所の存在を心からありがたく思っています。

 

ありがとう、福祉。

 中高生の頃、私がいずれこの身内の世話をしなければならなくなるのだと不安で不安で仕方なかったこと、確実に10年患った摂食障害の引き金の1つでした。

ありがとう、福祉。

福祉が救うのは本人とその家族だけではありません。周辺の、かなり広い範囲の人間を救います。

 教育と福祉はお金を削るべきではないと思います。

ほんとに。