夏休み最後のガンコちゃんを観て泣いた話
うちの小学生の息子はもう夏休みが終わっていますが、世間的にはなんとなく、夏休みの終わりは31日のようです。
そんな夏休み最後の平日の朝、下の子の朝ごはんに付き合いながらテレビを見ていたら、ガンコちゃんが始まりました。
ご存知ですか、ガンコちゃん。
実は設定が深いと話題のEテレのご長寿人形劇で、主人公はピンクの恐竜のガンコちゃん。
ロックなおばあちゃんと、家事育児を普通にこなすお父さん、力強いお母さんと小さな弟という、ジェンダー問題や男女の仕事分担に対して色々忖度している印象を持つ家庭に暮らしてます。
暴れん坊将軍の方が歌い上げるオープニングが素晴らしいので、是非お聴きください。
友達のおばあちゃんがピンチに
今回の主役はこのガンコちゃんの友達の男の子。
身体が大きくやんちゃなタイプの、元気な男の子です。
どうやら小さな弟(なのかな)とおばあちゃんとの3人暮らしらしく、家事はおばあちゃん担当の様子。
男の子が拾ってきたカラフルな実を、夕食を作ろうとしたおばあちゃんが見つけます。
どれどれ、ガリッ。
躊躇なく味見のためにかじる。
うん、おばあちゃんってそういう所あるよね。
結果、美味しくないので夕食のおかずにはなりませんでした。
そんな夕食後、おばあちゃんが倒れます。
ガタガタ震えながらめちゃくちゃ具合の悪そうなおばあちゃん。
心配する男の子と弟に、
「明日には治る。大丈夫だから、大事にしないで」
と伝えます。
しかし翌日、おばあちゃんの症状は更に悪化。
悪化し過ぎて、心配する子供達に暴言を吐くおばあちゃん。顔も怖い。
男の子は恐怖心と共に怒られているのだとも感じ、不安とショックを抱えながら登校します。
学校では衝撃の事実が判明。
男の子が拾っておばあちゃんが食べた実、毒だったんです。
自分のせいだとショックを受ける男の子。
先生に相談しようか悩みます。
テレビのこちら側で「言いなよ!」って思うけど、もじもじしている。
そうよね〜、おばあちゃん、大事にするなって言ってたしね。
でも不安は大きくて辛い。先生と2人になったところで思いきって話そうとしましたが、クラスメートがやってきて逃げ出してしまいます。
悩みながら歩いていると、近所の落ち着きのない兄ちゃん(カッパ)と会います。
いつもと違う男の子の様子に気付いて話しかけてくれました(偉い)。
言ってみようかな、と思った男の子ですが、さすが落ち着きのないカッパ。
1人で喋り倒してどこかへ行ってしまいました(なんやねんお前マジで)。
自分が悪い、自分のせいだ、やや自暴自棄になりながら池のほとりで石を投げて泣く男の子。
そこに現れる池の精(おっちゃんカッパ)。
「石投げたんは誰じゃー!」
とお怒りの様子も、男の子が泣いているのを見て何があったか話してみろと促します。
おお、まともな人が来た! カッパだけど。
男の子、自分が悪いんだを繰り返して泣く。
俺の事なんかわかんねぇくせに、と泣く。
やめて、母ちゃん胸が痛い。
それを聞いていたおっちゃんカッパ、きっぱりと言う。
「そりゃあ言わなきゃ解かんねぇよ」
ですよね。いやもうホント、ホントそうよ。
男の子、やっとおばあちゃんの事を話します。
おっちゃんカッパ、言う。
「困ったら人に助けを求めればいいんだ」
ホント。ホントそうよ。
おっちゃんカッパはガンコちゃんのおばあちゃんに相談する事を勧め、(言いたい放題言って)背中を押すだけで池に帰りました。
解決するのは自分自身というスタンスなんですね。
場面は変わって、夕方には庭でバーベキューを楽しんでいたガンコちゃん一家ですが、日が落ちてみんな家の中。
男の子はトボトボと家の前まで来て、立ち止まってしまいます。
そこへ、外に忘れた皿を探すためにおばあちゃんが出てきました。
男の子、思いきって話しかけます。でも、挨拶はできても言いたい事がなかなか出てこない。
頑張れ。
カッパの言葉が浮かびます。
背中を押された男の子、おばあちゃんに苦しい胸の内を話すことができました。
よっしゃ!
おばあちゃん、落ち着いたペースと優しい声で、
「あなたは優しい良い子だよ。おばあちゃんは具合が悪いからキツイ言い方になっただけで、怒っていない。その毒によく効く薬を持っているから、すぐに良くなるよ」
と言ってくれます。
男の子、心底ホッとして、やっといつものやんちゃな笑顔に戻りました。
私号泣。
助けを求めるって、難しい
あなたの辛さは言ってくれなきゃ分からない。
確かにそうだし、解決するにはそこからなんですけど、じゃあこちらの聞く姿勢はできてるのか? と、アホの方のカッパを見て思った次第。
私はその昔、辛い事や悩みがあった時、親に相談するという選択肢は取りたくありませんでした。
私の親は基本的に私の意見を否定するし、ネガティブな意見しか言わないし、私の思いつかないような解決策を出してくれる事もなく、要するに頼りにならなかったんですよね。
黙って聞き続けることもしてくれなかったんじゃないかなぁ、昔の記憶が全然無いけど。
ガンコちゃんのおばあちゃん、うんうん言いながら男の子の話を聞いてくれてるんです。
で、話の終わり辺りでガンコちゃんが庭に来てしまった時には、「失くし物を一緒に探してくれたんだよ」とサラリと誤魔化してくれて、男の子の耳元で「後ですぐに薬を届けるから、もう大丈夫だからね」と囁くんです。
希望通り大事にすることなく、男の子を安心させるという2つをあっさりクリアする凄腕。
完璧過ぎる。
一家に1人とは言わないけど、4人につき1人とかいてくれたら助かる〜。
自分がその役になれるかと言われたら、60年はかかる〜。
死んでる〜。
大事にしないで、という大人の事情から来る呪い
男の子のおばあちゃんが口にした「大事にしないで」という言葉。
気持ちはよーーーーーーく解るし私も言っちゃいそうだけど、子供にしてみたらこんなもんは呪いです。
おばあちゃんが倒れてる時点で大事なんだから。
むしろ、助けを呼んできてくれと頼んで子供に重荷背負わせないのが正解じゃないの!?
って話です。
でも、孫2人を育てるおばあちゃんは自分の気持ちが折れないためにも、他人に簡単に頼りたくないのかもねぇ、とも思うようになりました。
それが良い事かどうかは別だけど、おばあちゃんも頑張ってるからそうなっちゃうんだよね、と。
気付かずに私も、子供に呪いを吐き出してる事があるかもしれない。
昔ならこのおばあちゃんに自分の親の影を見て「馬鹿じゃないの!!」ってぶち切れていたであろうので、我が身を振り返り反省できるようになった辺り、多少は成長しているのかもしれない。
夏休みラストにこの話を持ってくるということ
夏休み明けが辛いという若い苦しむ人達に、ちょっと変化球だけど受け取ってくれと投げてくれたのがこの話なのかな、と思いながら観てました。
困ったら人に助けを求めること。
求め続けていれば必ず誰かは話を聞いてくれる、助けてくれるということ。
大人も気分や体調でキツイ事を言う時があるが、子供が悪いわけじゃない。
(これは凄く反省した。ごめんなさい。)
友達も家族も頼りにならなくても、どこかの誰かが助けになってくれる。
1人きりで本当にどうしようもない、という事は、まず無い。
助けを求めること、自分の気持ちを他人に伝えることは、悪くも恥ずかしくもない。
やるべき事だ。
あなたは、優しい良い子だ。
大丈夫。
こういう言葉を求めている人、掛けてもらうべき人は、たーーーーーーーーーーーーーーーーーくさんいるのだと思う。
大丈夫だからねって背中を撫でて欲しい人が、撫でてもらうべき人が、たーーーーーーーーーーーーーーーーーくさんいるのだと思う。
だから、この日にこのガンコちゃんを放送してくれた事は、メッセージなんだろうなと思いました。
学校に行きたくないあなたに、親はキツイ事を言うかもしれない。
でもそれは、親として「子供を立派に育てなければならない」というプレッシャーから出ている言葉なので、行きたくないあなたを責めているのとは違う。
具合が悪いおばあちゃんと一緒です。
親もね〜、子供と歩む人生って手探りなんだよね〜。※個人の感想です
頼りなくてごめんなさい。ホントごめん。
あなたは悪くない。悪いのはあなたを憂鬱にする原因です。
とりあえず、胸の内を誰かに話してみると良いかもしれない。
人に言いたくないなら、自分に向けて手紙を書いてみるのも良いかもしれない。
その辺に置いてある怪しい物は食べないほうが良い。
オープニングは暴れん坊将軍が瞼の裏に浮かぶけど、よく考えたら今の若い子はマツケンサンバのほうが馴染みがあるかもしれない。
そんなマツケンサンバ、リリースが2004年らしいんだが。
何なら若い子はマツケンサンバも知らんのか。
ああ、夏が終わりますね。